# VIVA CULTURE
project 266「電車内」
https://scratch.mit.edu/projects/317149403/editor
「夕焼け」吉野弘さんの詩
いつものことだが、電車は、満員だった。
そして、いつものことだが、若者と娘が腰をおろし、年寄りが立っていた。
うつむいていた娘が立って、年寄りに席を譲った。
そそくさと、年寄りが座った。
礼も言わずに、年寄りは、次の駅で降りた。娘は坐った。
別の年寄りが、娘の前に、横あいから押すされてきた。
娘は、うつむいた。しかし、また立って、席をその年寄りに譲った。娘は坐った。
二度あることは、と、言うとおり別の年寄りが、娘の前に押し出された。
可哀相に、娘は、うつむいて、そして、今度は、席を立たなかった。
次の駅も、次の駅も、下唇をキュッと嚙んで 身体をこわばらせてー。
僕は、電車を降りた。
固くなって、うつむいて、娘は、どこまで行ったろう。やさしい心の持ち主はいつでもどこでも 我にもあらず、受難者になる。
何故って、やさしい心の持ち主は、他人のつらさを自分のつらさのように感じるから。
やさしい心に責められながら、娘は、何処まで行けるだろう。
下唇をかんで、つらい気持ちで、美しい夕焼けもみないで。
・・・毎日、娘も1.5時間(往復3時間)の通勤途中、このような状況に合うという。重い書類を持ち、出勤する時や疲れて帰る時に、このような状況に合うと、とても辛いが、何回もお礼を言ってくれるお年寄りに合うと、心が、明るくなるというのだ。
私も、若いころ、このような場面にあったことがあるので、このごろは、電車に乗る時、極力、電車のすいた時間帯にしている。
R1年6月17日、満月。ストロベリームーン、皆既月食、
・・・2019年の満月は、1/21..2/20..3/21..4/19..5/9..6/17..7/17..8/15..9/14..10/14..11/12..12/12です。